2014-09-24

第7回:(若手)研究者は現場教師対象の研修会で,誰に,何を,どう語るか

こんにちは,ゴトウです。

9月19日(金)に行われた議論について。
初め僕とカワグチさんが話をスタートさせて,後からミナミウラさんが合流する形でした。この時期,なんやかんやあり,慌ただしいですね。時間が合わなかったりします。

その,“なんやかんや”…の中には,これをご覧になっている方の多くが関わっているでしょうが,夏休み中の「研修会」があると思います。教員免許更新の◯◯年研修であったり,教育委員会等主催の授業づくり等の研修会であったり,僕だったら6月頃にもNIEについて講演がありました。

今日はこの研修会がテーマです。


議論の背景


研究論文などでは「(授業が上手くいく)秘訣」「ポイント」,あるいは実践を位置づけるための「軸」を語るべきか,それとも実践にまつわる物語を失敗や苦労も含めて語るかについて,南浦さんが整理してくれました。

そのお話をふまえ浮かび上がってきたのが,僕たちが現場教師たちに対して行う研修会でした。

「若手の大学教員が教員に対して『指導助言』とか『講評』をしなきゃいけないときにどんな気持ちになり,そこで何を喋るか」

しなきゃいけない…と若干ネガティブな言い回しがしてあるのは,率直な気持ちの表れです。とはいえ,これは若手の大学教員にとって単なる通過儀礼で時間が解決してくれる,という話ではなくて,誰が,誰に,どういう話をするかという問題とつながっていると思うのです。

で,今回はメンバーそれぞれ研修会で使った資料,スライドをもとに,その時の気持ちを赤裸々に語り合ったのでした。
以下,議論の模様を書いていきましょう。


研修会の事実


僕がこのお盆明けにやったのは,「高校地歴公民の授業のつくり方研修会」というものでした。恐縮ですが,今回はこれを例に。

参加者は,実際は高校地歴公民の教員だけでなく中学校社会科の教員もいました。人数は,14人。出張で途中で抜ける人もいました。
年齢層は,20代半ばから30代半ばくらい。初任者研修も兼ねていて,それ以外の人は選択で来ているそう。(すみません,本当に新米で,このあたりの詳しい仕組みはよく分かっていません)

研修は,

  1. ゴトウの講演(結果的に,2時間弱…。)
  2. メンター教員による実践例の紹介(40分程度)
  3. 昼食
  4. 参加者による実践の発表(1時間程)
  5. 中・高に分かれて各実践の改善について議論(1時間程)
  6. 議論のまとめを代表者が発表
  7. 指導主事・ゴトウによる講評

で,9時20分〜16時まででした。
このうち,ゴトウははじめの講演,昼からの議論に中学校チームに参加,講評をしました。

講演内容としては,「問い」に焦点化した話をして欲しい,授業中の一場面だけでなく,授業を貫く問い,単元・カリキュラムレベルでの問いについて,とリクエストがありました。なので,オーソドックスに社会を知る,批判的に捉える,関わる,などと社会科の目標を段階的に?整理した上で,教育実習生や親交のある現場教師の指導案,研究者が作った指導案を見ながら「どのようか」「なぜ〜か」「どうすべきか」という問いに関わらせてお話ししました。途中,ワークショップまではいきませんが「指導案中のこの問いに対して,皆さんだったらどう応えますか,どういう答えを用意しますか」と教材研究のシミュレーションのようなアクティビティを入れたりもしました。

典型的な,「ポイント」を話す講演だったと思います。
ただ,講演のまとめと,最後の講評で強調したのは,これが絶対ではないということ。例えば「どのようか」よりも「なぜ」の方がレベルが高いと言いたげなスライドだったかもしれないけれど,全ての問いをそうしろって言うことではない。歴史なら,結果からさかのぼらせるので,順を追っていく思考に慣れている子どもには準備が必要な場合もある…など,いざやってみる時の課題や「つまずきあるある」を話しました。
だから,中長期的な視点と,主体的な判断が大事と。これも含めて「ポイント」なのかも知れませんが。

午後からは参加者主体でしたが,自分たちの授業を語るということで,また若手ばかりでしたので,等身大の今現在の自分の力量で,自分の学校,教室で抱えていることなどを吐露し合う側面がかなりあった印象です。他人の授業の改善を議論する場も,「やっぱりそこの単元難しいですよね」,「この教科書だと,こことここが重複していて…」「そうそうそう!やりにくいですよね!」など。


研修会で僕(たち)が思ったこと


僕は率直に,「同世代が多くてよかった,ほっとした,話しやすかった」

カワグチ氏から直ぐさま突っ込み(笑)。
「年配の方は話しにくいってこと?引け目を感じるのはなぜ?」
僕は,
1)年上の人には敬うべきという素朴な姿勢
2)理屈とかそういう話はできても,事例はでてこない。世界史はまだ多少できるけど(高校世界史の非常勤講師の経験から),公民や日本史の事例は教えた経験をもとにできない。限りがある。
と主な理由を挙げました。
他には,
・また若手は研修が多く,実際さまざまな課題にぶつかるだろうし意識が高い人が多い。あまり聞く気がない年配の人をこれまで見たことがあるから,
・アクティビティが受ける場合もあるし,普段やっているんだから(理論的な)話が聞きたいという場合もあると。
・ベテランの大学教員の若い頃の話だと,その教員が来る前は社会科教育の専門家がいなかったので,歓迎されたらしい。ただし,これもマッチしたりしなかったり。
要は,経験では勝負できない,参加者によって意識やニーズが違う,ということ。

若手の僕らが話せることって何だ!?


議論は,経験豊富な,ベテランの大学教員と同じスタンスで同じ話ができるか,してていいのか。逆に,今の僕らだからこそできることってないか!?という話に。
しかし,これを考えていく上で出てきたのは,

講演の内容と自分の研究のギャップ


です。このメンバーは,必ずしも「よい」ものを提示することはしないスタンスであったり,授業論を研究してきたわけでもない。象徴的に言えば,発表レジュメに指導案が出てこないタイプ(笑)。
この辺りに,葛藤や引け目をそれぞれ大なり小なり感じています。それが「指導」「講評」することへの躊躇に拍車をかけています。では,どう乗り越えるのか。その一つに挙ったのは…

「場づくり」ができる!


研修会も,目的的に考えれば,参加者が一方向的に何かを吸収するだけでなく,参加者同士はもちろん,また大学教員も現場のニーズを知りたいだろうし,交流が大事だと思います。

経験も,専門性も中間的な位置の僕ら。でも,だからこそ,間を取りもつことができるのでは。例えば,各研究会で,もし社会科の大学教員が2人いたなら,若手は最後の講評というより,司会とかの役が回ってくることが予想されます。この時いろんな人に話をふり,整理し,束ねることはかなり大事なお仕事。
うん,場づくりって大事だ!

そして,よくよく思い返してみると,僕らも上手いなーと思う(中堅・ベテラン)大学教員は,場づくりマスターなところがあります。ホームページ,TAなどもある種の場づくりでしょう。ただし,いろんな授業論や視点に精通しているのも必要ではないでしょうか。

場づくりの力は,今現在でも鍛えることができるし,強みにもできそうですね。
場づくりマスターの中堅・ベテラン教員はいかにしてそうなったのか,気になるところです。